グノーシス主義について

グノーシス主義は1世紀に発生して3世紀から4世紀にかけて地中海沿岸に広まった宗教思想です。

反宇宙論と二元論に特徴があります。

グノーシスとはギリシャ語で「認識」や「知識」を意味しています。

様々な分派が存在しており、西方グノーシス主義と東方グノーシス主義に大別できます。

西方グノーシス主義はエジプトやシリア、パレスティナ、小アジアやギリシャ、ローマなどで栄えました。

代表的な宗派はヴァレンティノス派です。

ヴァレンティノス派ではグノーシス主義者とそうでない者が区別されました。

グノーシス主義者は禁欲を基本として世俗的な快楽や生殖行為を避けます。

またプロティノスの流出説を採り入れます。

善である永遠界は流出によって生まれますが、その過程でソピアー神話が示すように過失があったため悪の世界であるこの世が生まれたとします。

西方グノーシス主義は禁欲的で生殖を避けたので永続できず、4世紀から5世紀頃には消えました。

イランやメソポタミアで栄えた東方グノーシス主義の代表はマニ教やマンダ教です。

東方グノーシス主義は西方グノーシス主義より少し遅れて栄えました。

西方グノーシス主義の影響を受けている他に、ペルシアにおけるゾロアスター教など二元論的宗教の影響も受けます。

さらにイランやインドに古くから存在する神々や神話も採り入れました。

西方グノーシス主義が禁欲的なエリートによるものであったのに対して、東方グノーシス主義では信徒の階級が存在したため一般の人々も広く入信しています。

一般信徒は生殖が可能だったので永続することができました。

マニ教は3世紀のササン朝ペルシャでマニを開祖として生まれた宗教です。

寺院は現在も中国の福建省にあります。

マンダ教はイラクで現存しています。

イスラム教のコーランに記された正体不明な民族・宗派は自分たちであると主張し、イスラム教徒も認めたため存続することができました。

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