ヘルメス哲学とキリスト教神秘主義

・ヘルメス哲学とは

ヘルメス・トリスメギストスは神秘思想や錬金術に登場する神人で伝説的な錬金術師でもあります。

ギリシャ神話のヘルメス神とエジプト神話のトート神がヘレニズム時代に融合しました。

さらに錬金術師ヘルメスがヘルメス神とトート神の威光を継ぐ者とされ、ヘルメス・トリスメギストスと呼ばれるようになります。

3つのヘルメスを合わせる存在という意味で、「3倍偉大なヘルメス」や「三重に偉大なヘルメス」などと訳されます。

ヘルメス・トリスメギストスはエメラルド板やヘルメス文書の著者とされました。

エメラルド板はエメラルド・タブレットやタブラ・スマラグディーナ、エメラルド碑などとも呼ばれます。

12の錬金術の奥義が記されたものとされています。

エメラルド板の実物は現存していません。10世紀頃にアラビア語からラテン語に訳された写本が残っています。ヘルメス文書はヘルメティカ文書とも呼ばれます。

神秘主義的な古代思想の文献写本の総称です。

中世の錬金術師はヘルメス・トリスメギストスが賢者の石を手に入れた唯一の人物と考えました。賢者の石とは鉛などの卑金属を金に変えるための触媒となる霊薬のことです。

「ヘルメス思想」とはヘルメス・トリスメギストスのように世界の神秘を明らかにしようとする考えを指します。

・キリスト教神秘主義とは

キリスト教神秘主義は三位一体の神である父と子と聖霊を直接的に経験するための哲学と実践を指します。

伝統的な実践方法としては読書と祈り、自己制限と他者や神への奉仕が挙げられます。

キリスト教神秘主義は初代教会の頃から伝わる伝統的な実践方法です。

一般的なキリスト教の教理では、聖書を学びイエス・キリストを信じ教会の儀式に参加すると神に近づくことができるとされます。

キリストに倣うことで知性では到達不可能な霊的真理を把握しようとする点に特徴があります。

新約聖書の主な文書は西暦150年頃までに成立したと考えられています。

キリスト教が迫害を受けながらローマ帝国内で広がり、皇帝テオドシウス1世が380年に国教とする以前に成立した教会は初代教会や原始教会、原始教団などと呼ばれます。


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