
本名はジェラール・アンコースといいます。
若い頃から学業優秀で後にパリ大学の医学部に入り1894年には医学博士号を授与されました。
医学生時代に錬金術に興味を持ち、魔術や東洋思想の研究を始めます。
1890年にはスタニスラス・ド・ガイタ侯爵が設立した「薔薇十字カバラ団」に加入しました。
「薔薇十字カバラ団」は1888年に設立され、19世紀末を代表する魔術師のジョゼファン・ペラダンやスイスの隠秘学者でタロット研究科でもあるオズワルド・ウィルトなどが参加しています。
パピュスはカバラの基本文献である「形成の書」のヘブライ文字と世界を構成する諸要素を対応させるという思想を抱いていました。
この思想に基づいてタロットカードを媒介にヘブライ文字を7つの惑星と12の星座に対応させています。
大アルカナとヘブライ文字の対応関係はエリファス・レヴィの説に則ったものです。
また大アルカナと惑星・星座の関係については基本的にエッティラの説を踏襲しつつ多少修正しています。
「形成の書」にタロットカードとヘブライ文字、占星術の3つを具体的に結びつける記述はありません。
パピュスはエリファス・レヴィが考案したタロットカードとヘブライ文字の対応関係に従ってカードを並べ替えています。
ヘブライ文字のアルファベット順に並べ替えられ、愚者のカードが21番になり世界のカードは22番とされました。
旧約聖書と新約聖書における唯一神の名がヤハウェとされます。
ヤハウェを表すヘブライ語の4つ子音文字は神聖四文字やテトラグラマトンと呼ばれています。
神聖四文字はラテン語で「YHVH」や「YHWH」、「JHVH」、「JHWH」、「IHVH」などと翻字されます。
パピュスは神聖四文字のYHVHを小アルカナのワンドとカップ、ソード、コインに対応させました。
さらに各スートの1から10までの数札に生命の樹におけるケテルからマルクトまでのセフィラを対応させています。
1889年には「ジプシーのタロット」という理論書を発表しました。オズワルド・ウィルトは1889年にマルセイユ版をエリファス・レヴィの説に基づいて修正したタロット22枚を制作しています。
世界で初めてヘブライ文字と対応させたこのタロットは、350セットが限定販売される一方でパピュスの「ジプシーのタロット」の挿絵にも使用されました。
パピュスは1909年に「タロット占術」という本を出版しています。
この本にはエッティラやエリファス・レヴィの影響を受けたジャン・ガブリエル・グーリナが描いた挿絵が使用されていました。
パピュスのタロット(ステファン版)はジャン・ガブリエル・グーリナ(1883~1972)による挿絵に基づいて、1981年にフランスのオリヴァー・ステファンが制作したものです。
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